第33回(令和7年12月号)

更新日:2025年12月05日

AIが示す日本の未来:持続可能性への分岐点

平成26年に発表された「増田レポート」は、若年女性人口の減少に焦点を当て、多数の自治体が消滅しかねないという警鐘を鳴らしました。でも、なかなか東京一極集中の流れを変えることができません。こうした中で、私たちがあるべき姿を描くには、エビデンスに基づく政策立案(EBPM)の根拠が不可欠だと考えています。

今年巡り合った多くの人の中で京都大学の広井良典先生は私に大きなインパクトを与えました。広井先生のチームが共同で実施したAIシミュレーションは、この「明確な根拠」を提供してくれたのです。

広井先生は2050年の日本を見据え、人口、財政・社会保障、地域、環境・資源という4つの持続可能性に注目し、AIにより2万通りもの未来シナリオを分析しました。その分析結果は驚くべきもので、今から8~10年後に日本社会の未来にとって大きな分岐点がやってくる…その分かれ目となるポイントが「都市集中型」か「地方分散型」か、どちらを選ぶかで未来の姿が変わってくるという内容です。

都市集中型のシナリオでは、都市への一極集中が加速し、出生率の低下や格差拡大、個人の幸福感・健康寿命の低下が進行することになります。一方、地方分散型のシナリオでは、地方への人口分散が起こり、出生率が持ち直し、格差が縮小し、個人の健康寿命や幸福感も増大します。これは、都会に集中してしまうと日本の未来の姿が描けないという、以前からの直感に確かな裏付けを与えてくれるものでした。

AIは、持続可能性の観点から、「地方分散型」がより望ましいと結論付けました。この望ましい未来を実現するため、AIは具体的な政策を提言しています。例えば、労働生産性から資源生産性への転換…つまり、 「人を酷使してたくさん作る」経済から、「資源を大切に使いながら賢く作る」経済への転換を図ることが大切だということです。地域公共交通機関の充実、そして地域コミュニティを支える文化や倫理の伝承なども重要です。

今、東伊豆町で取り組んでいる施策の方向性は間違っていないように思います。大切なのは「限られた時間」の中でどれだけそれらの施策を実現できるかだと思います。

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